「FAXのデジタル化」が最新技術との親和性を高め、業務改善を進める鍵に
アナログFAXのままで本当に業務改善できますか?最新技術が仕事や生活をどんどん便利にする一方で、 古い技術が使われ続けることがある。 古い技術が 根強く残るのは、 それが最も適した現場があるためだ。 世代の異なる技術を無理なくつないでビジネス改革を実現する方法とは。
FAXの歴史は長く、原型の発明は電話よりも古いとされている。ビジネスシーンでも「今どきFAXなんて」といわれながら、いまだに使われ続けている現状がある。
FAXを頻繁に利用する業界としてはサービス業や不動産業界、医療関係などが挙げられる。その他、契約や法務関連など、紙文書をさまざまなフォーマットでやりとりする業界において欠かせないものとなっている。
メールやチャットツール、クラウドストレージといった便利なITツールが一般に普及しているにもかかわらず、専用機やオフィス用複合機によるFAXは現在でもビジネスの第一線で利用され続けている。それは「FAXで紙データをやりとりした方が効率の良い現場」が存在するためだ。
FAXを「いずれ廃れる技術だから」といって業務改善の対象から外していないだろうか。業務でFAXが必須ツールとなっているのであれば、デジタル化によって業務効率化や生産性の向上を目指す方法があるという。
世界1200万の顧客が利用する「eFax」
「FAXのデジタル化は、業務改善に劇的な効果を生み出します。 いずれ廃れる技術として放置せず積極的に見直せば、効率化や生産性向上が可能です。さまざまなビジネスがデジタル化してあらゆるデータがクラウドに集まる時代、 業務改革の第一歩として 『インターネットFAX』はとても有効だと考えています」とJ2 Globalの日本法人、j2 Global Japanでゼネラルマネージャーを務める江森芳隆氏は述べる。
インターネットFAXのサービスのうち、j2 Globalが提供するのが「eFax」だ。同社は米国ハリウッドで誕生したビジネスクラウドサービスとニューヨークを本拠地としたデジタルメディアサービスを持ち、Nasdaqに上場するインターネットサービス企業である。
eFaxはグローバルで1200万アカウント、日本国内で6万アカウントが利用している(2020年2月時点)。江森氏が「圧倒的なグローバルシェアを持つ、インターネットFAXのデファクトスタンダード」と自負する通り、個人経営の店舗や士業の事務所、大手企業の営業、法務、人事部門など、多様な業種業態で利用されているという。
「日本の個人事業主や小規模事業者にとって、FAXは決して『時代遅れで、これから廃れていくだけの技術』ではありません。そこで日本でeFaxを提供するに当たり、最も可能性のあるセグメントとしてプロシューマー(Professional+Consumer) をターゲットにビジネスを立ち上げました」(江森氏)
日本における同社の強みは、グローバルでの成功に基づいた先行投資だ。一般的なインターネットFAXはIP回線を利用する。そのためほとんどの場合FAX番号は「050」から始まり、一部のサービスでは東京の「03」 や大阪の「06」を含むFAX番号を利用できる。一方でj2 Global JapanのeFaxは「050」に加え、47都道府県の県庁所在地を中心に、合計で63地域の市外局番を含むFAX番号を扱える「全国のエリアコード」を提供している。また、2012年から「iOS」「Android」向けのスマートフォンアプリを世界同時に導入し、顧客のニーズにいち早く応えているという。
「FAXのデジタル化」 で起きること
江森氏はFAXのデジタル化による最大の変化を「いつでもどこでもFAXを送受信できるようになること」と述べる。
FAXは基本的に、社内にある専用機やオフィス用複合機で送受信するものだ。しかしデジタル化すればPCやタブレット、スマートフォンなどからの利用が可能になる。営業やイベントで外出せざるを得ない場合でも、社内にいるのと変わらずにFAXが使える。江森氏は「このメリットは想像以上に大きい」と強調する。
また、昨今普及が進むテレワークにおいても、インターネットFAXは相性が良いという。「国際イベントや感染症対策にテレワークが推奨されていますが、インターネットFAXならこれらの勤務形態にすんなりとなじみます。自宅に専用機を持たない人材が、オフィスにいるのと変わらずに業務に当たれるのは事業継続性の上でも重要です」(江森氏)
さらに同氏が卸売業者や物流センターにおけるメリットとして強調するのが「紙やインクなどのメンテナンス費用が不要になる点」と「FAXで送られてきた発注をデジタルデータとして処理したり保存したりできる点」だ。多くの店舗から発注を受ける事業者は、消耗品を購入したり紙のデータをファイリングしたりする。
コストが不要になる。FAXをデジタルデータとして受信できれば大量のデータもHDDやクラウドストレージに簡単に保存できるし、専用機が不要になるため業務スペースの削減も可能だ。江森氏はこうした効果から「インターネットFAXはどの業種業態でも歓迎される」と自信を見せる。
それでは、FAXのデジタル化にデメリットはないのか。かつて、コミュニケーションツールの移行においてありがちなトラブルに「取引先とのすり合わせ」があった。直接訪問から電話へ、電話からメールへといった変化は取引先の理解を得る必要があり、それが古い手段を続けざるを得ない要因となることもあった。
しかし、インターネットFAXは利用者が指定したメールアドレス宛てにFAXが届くもので、基本的な使い方は電子メールと変わらない。送受信先の取引相手はFAXを使い続けられるし、自社がFAXをデジタル化しているとは気が付かない。お互いストレスなく、自分にとって最適なツールを使えるという。
押し寄せるデジタル化とFAXとの上手な付き合い方
現代は新聞や雑誌、本などもデジタル化され、紙の本の発行部数は減り続けている。社内の文書回覧をデジタルで配信し、会議資料は印刷せずにPCやタブレットで見るという企業も珍しくない。
そのような時代でも、全てデジタル化するのが難しい仕事は残っている。士業や不動産業界、医療福祉関連業界においては、紙の資料を扱う方が効率的な業務がある。また、デスクワークが少なく動き回る仕事が多い現場では、紙文書でのやりとりが一番早いこともあるだろう。例えば個人経営の小規模店舗や飲食店が店舗運営の合間に処理するなら「PCやスマートフォンでメールソフトを立ち上げて内容を確認、返信を入力して送信する」よりも「カウンターのFAXが出力した紙にそのまま返事を書き込んで返信する」という作業の方が適している。
「こういった状況は今後も続きます。 アナログFAXはこれからも、さまざまな場面で活用されるでしょう」と江森氏は予測している。
そこで現場とつながるデスクワーク中心のオフィスがFAXをデジタル化すれば、効率の良い作業工程の確立やペーパーレス化による業務改革が可能になる。アナログFAXとデジタルストレージをインターネットFAXでつなぐことが、「事業のデジタル化」の第一歩となるのだ。
eFaxによって「紙の方が便利な事業者」と「アナログ的手段を活用しながらデジタル化したい事業者」が共存しながら、今後のビジネス改革を推し進められる。eFaxは取引先と自社のビジネスを相互に改善する、画期的なツールとなるだろう。
本記事は2020年3月に TechTargetジャパン(https://techtarget.itmedia.co.jp/)へ掲載したコンテンツです。